【本の紹介】砂嵐に星屑 著者:一穂ミチ

本の紹介
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【中古】 砂嵐に星屑 幻冬舎文庫/一穂ミチ(著者)
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今回は、「仕事」をテーマに書かれた「砂嵐に星屑」を紹介します!

読もうと思ったきっかけ

私は、本屋大賞3位となった「スモールワールズ」で一穂ミチさんを知りました。

もっと一穂ミチさんの作品を読んでみたいと思ったとき、仕事をテーマに短編集で書かれている「砂嵐に星屑」が目に留まりました。

子育て中なので短編集がありがたく、仕事に対してのモチベーションにもつながるかなと思い購入しました!

この本をおすすめできる人

・仕事に対するモチベーションを上げたい人

・色々な角度から仕事に対しての考え方を知りたい人

・読書に時間をあまり割けない人

読んでみて良かったポイント

①仕事にまつわる様々な思いがリアルで共感できる

②仕事に関してポジティブに考えるきっかけをくれる

概要

この作品は春夏秋冬に合わせて、テレビ局を舞台に仕事でまつわる5つの物語が描かれています。

🌸春〉資料室の幽霊

⇒主人公:三木 邑子 東京から出戻りしてきた40代独身女性アナウンサー

📚あらすじ

不倫がバレて東京に異動となっていたが10年ぶりに大阪のなにわTVに戻ることに。人間関係や仕事に憂鬱さを感じていた矢先に、資料室に元不倫相手の幽霊が出る噂を聞いて。。

🍉〈夏〉泥船のモラトリアム

⇒主人公:中島 自分の人生がこれで良いのか悩む50代ニュース番組のデスク

📚あらすじ

後に詳しく紹介します!!

🌀〈秋〉嵐のランデブー

⇒主人公:佐々 結花 複雑な恋愛で悩む20代フリータイムキーパー

📚あらすじ

番組の忘年会で隣になった男性に好意を抱き、ルームシェアを始めるが彼の恋愛対象は男性だった。。

⛄〈冬〉眠れぬ夜のあなた

⇒主人公:堤 晴一 自己評価が低くやる気がない30代AD

📚あらすじ

彼女には振られ仕事へのモチベーションもないまま番組作りを任されことに。出演者、同僚との交流の中で徐々に仕事のやりがいに気づいていく。

🌸砂嵐に花びら

⇒上記とは違い、タイトルに季節は明記されていません

⇒主人公:小野 陽介 父と同じ報道カメラマンを目指す20代大学生アルバイト

📚あらすじ

母親に現場を知りなさいと言われTV局でアルバイトをすることに。現場では「自分には報道カメラマンは向いていない」と思うばかりだったが、お花見で新人アナウンサーから意外な言葉をかけられて。。

それぞれの物語で主人公が違います。ただ、主人公同士でのやりとりもあり面白いです。

短編集ですが5つの物語を読むことでそれぞれの関係性や心情が分かり読みごたえがあります。

また、書かれているテーマ(仕事の価値観、職場恋愛、同僚との友情など)も違うので今の自分の心情と合った物語が見つけやすいです!

泥船のモラトリアム

今回の物語の中で特に「泥船のモラトリアム」が自分の心情にも刺さったので紹介したいと思います!

ネタバレを含むのでご注意下さい!

📚あらすじ

主人公である中島は、妻・大学生の娘と3人暮らしです。娘とは、ささいなきっかけで喧嘩となり、2年間口を聞いていません。

概要でも書いているように仕事場では、後輩からの信頼が厚い良い上司です。ただ、胸の内は、”このまま何の目的もなく仕事を続けてもいいのか”と常に思っています。

家庭と仕事の両方に悩みがある中、震度6弱の地震が起こります。

報道するため会社に出勤しようとしますが電車が止まっており、タクシー乗り場は渋滞

17㎞先の会社まで歩いて行くことに、、

中島が歩く中で、同僚への思い、仕事に対する葛藤、報道という仕事について、娘との関係などが語られていきます。

私は、中島さんが思い悩む姿がとてもリアルで共感し勇気を貰いました。

話の中で特に心に残った場面を時系列で紹介してみます。

心に残った場面

今頃になって周囲が続々と「自分探し」めいたことを始めるものだから、つられてそわそわしてしまう。ここを出てやりたいことも、ここにしがみついてやりたいことも別になかった。それは今に始まった話じゃないのに、自分が空っぽなつまらない人間だと改めて突きつけられた気がする。

「砂嵐に星屑」一穂 ミチ著 株式会社幻冬舎出版(2024/7/15)より引用

中島さんは歩き始めの序盤でこのような悩みを吐露しています。”存在意義” ”働く目的”は何なのか。同僚の退職、娘との確執もあり人生について悩んでいる様子がとてもリアルでした。

私もこの言葉で、「自分がやりたいことって何だっけ?」「このままでいいのか?」という漠然と抱えていた不安感を言語化されたようでした。

みなさんも日々忙しく仕事をされていると思いますが、ふと休んだ際に考えることはありませんか?

私は序盤で中島さんの悩みを知り、この悩みがどのように変わっていくのか気になり一気に読み進めました!

取材のヘリの音がうるさくて捜査活動が難航したって、ツイッターで怒っている人おったで。パパ、あかんやん。

「砂嵐に星屑」一穂 ミチ著 株式会社幻冬舎出版(2024/7/15)より引用

歩く中で、娘さんとの確執も回想として語られています。

大切なポイントなので簡単に書いておきます。

現在の話から2年前に発生した、熊本地震での出来事が関係しています。

当時、熊本地震が発生した際、中島は現地に出向き1か月寝る間も惜しみ現地の声を届け続けました。

取材で出会った被災者は「よく来てくれた。まだまだ足りないものがある。困っていることを全国に伝えてくれ。」と歓迎してくれ、良い関係を築き定期的に取材させてもらえるようになりました。

中島は現地の方と大切な縁を結べるのが現場で汗をかく意義だと久しぶりに報道という仕事に誇りを感じます。

また、中島は他の回想にて阪神淡路大震災で何もできなかったことを悔いています。

そのような心情もあり、今回の仕事は中島さんにとって大きな意味があったんだと思います。

そんな中、久しぶりに自宅に戻り夕食を食べていた際に、娘から上記の言葉を投げられます。

中島は、現場も知らないのにツイッターで情報のウラ取りの苦労もせず、不確かなデマを流していること、そしてそのデマを娘が信じていることに激怒しました。

この日から、中島と娘は口をまともに聞かなくなります。

ふる
ふる

子供に言われるときついですね、、

私は、この出来事がきっかけで中島さんにとって「現場の声を届ける」という仕事の誇り・目的を見失ってしまったのだと思います。

どんな組織にも、お前みたいな人間が絶対に必要なんや

「砂嵐に星屑」一穂 ミチ著 株式会社幻冬舎出版(2024/7/15)より引用

途中心が折れそうになりながらなんとか会社に到着。

そこから馬車馬のように働き、深夜に同僚の市岡(報道局次長:退職予定)とビールで乾杯します。

上記はその時に、市岡から中島に送られた言葉です。

市岡は中島の人を出し抜いたり、手を抜いたりしない真っ当さに何度も助けられたと感謝します。

中島は震えそうな声を押さえ冗談を言いつつ、心から「ありがとう」と返します。

この場面で、中島さんは自分の”存在意義”を強く感じたんだなと思いました。

”自己評価”と”他者評価”は違い、自分自身は心の中で思い悩んでいたとしても、「誰かの助けや希望になっている」というメッセージを私は受け取りました。

何ぞ思うところあったんやろね、きょうはボランティアの申し込みに行ってくるんやて。何やいろいろ調べとったわ。

「砂嵐に星屑」一穂 ミチ著 株式会社幻冬舎出版(2024/7/15)より引用

翌日の朝

洗面所に会った娘から挨拶が返ってきます。2年ぶりの会話に驚き妻に尋ねた際、上記言葉を言われます。妻は中島が出社した後、娘を起こし父親が大阪まで歩いて行ったことを説明しています。

娘さんの心情は直接書かれてはいませんが読み取ることはできます。

娘さんも確執の原因となった出来事を思い出したのではないでしょうか?

父親は今日も現場に行っている、私は現場に行かずスマホを見るだけ。

スマホから得られる不確かな情報ではなく、ボランティアとして現場に行き自分の目で見たい(情報のウラを取る)という心情が表れていると思います。

父親からの怒りの言葉を時間はかかりましたが、ちゃんと受け止め行動に移せていることに成長を感じ、私も嬉しくなりました笑

中島は”現場の声を聞きに行く娘の行動”に嬉しくなり冗談交じりラインを送り、

娘からの返信を見て笑いながら出社していきます。

ここで物語が終わりました。

最後の娘さんとの掛け合いや伏線回収がとても良く、中島さんが仕事の目的も取り戻したように感じ私も大満足でした!!

最後に

「泥船のモラトリアム」は会社に向かって歩く中で、”存在意義” ”仕事の目的”について深く考え同僚、家族との交流を通し、再び光を取り戻していく物語でした。

1人で乗り越えることは難しくても心から通じ合える人がいれば、また前を向いて歩いて行くことができると思いました。

今回は「泥船のモラトリアム」について深くお伝えしましたが、他の物語も同様に人の心情を細かく描写されながら、最後は様々な光の形を読者が受け取ることができます。

ふる
ふる

仕事にまつわることで悩まれている方は1度手に取ってみて下さい

最後までご覧いただきありがとうございました!

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